都合のいい女の条件

この仕事場はマンションの2LDKの一室だ

リビングルームに俺と遠藤と机があり

メグたちは2人掛けのダイニングテーブルで作業する





………………


PCを叩く音とメグたちの声を聞いてから
3時間ほど経過した頃だろうか



「輝、先に帰るわ。あと頼むな」

「んー」




…………………




よし、今日はここまででいいだろう

1度伸びをして横を見る



…そうだ。居たんだった


えーと名前は…




「神田さん」

「はい」



「まだやってたのか」

彼女のいるテーブルに近づいて
向かいの椅子に座る



何気なしにテーブルの書類を見る




―マジかよ



処理が早い。見たところミスもない


「メグちゃんのお気に入りなワケだな」




仕事を見ればわかる


俺とコイツ正反対だ




「…輝さん」

「んー?」





「私がメグさんの代わりになったこと、
驚かないんですね」


「驚いたさ」




―この女は賢い


大抵の女は“秘密”や“内緒”という言葉が好きだ

そのくせ話したがる



最低でも1人には話す

だから噂なんかがすぐに広まるわけで


でも人の口に戸は立てられないワケで

本当に秘密にしたかったら

秘密とは全く関係ない人物に話すか

秘密という認識を共有し続けるしかない
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