叙情
そして、頭が真っ白になるほどのキスを繰り返され

ようやく解放されると


「ごちそうさま」



そう言いながら
私の頭に手をやり


「おやすみ」


少し笑いかけるように
言葉を続け


唇に軽くキスをすると

自分の部屋へと帰ってしまった。


何が起こったのか

今の私には

ちゃんと理解ができない。



唖然としたまま
起き上がり、目の前のケーキに手を差し伸べ
口にゆっくりと運んでいる。


けれど、ケーキを口に運ぶ度

さっきの、総一のキスを思い出し

胸が高鳴り、熱くなる。



ダメだ、最低だ・・・


きっと、私は・・・


これからケーキを見る度

総一とのキスを連想させてしまう。


こんなふうに
刷り込まれたら

私は、総一を一生忘れる事はできない。



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