叙情
「何か音とかに
ビビッたよね」


「・・・うん」


映画が終わったと同時に
すべての力が抜けた感じになってしまっている。



「真弓ちゃん、大丈夫?」


「大丈夫・・・行こう」



座席から ようやく立ち上がり
リオンくんに手を握られたまま
ホールの方へと出た。


人で溢れ返っているホール内を
そのまま突き抜け映画館外へと出ると


「あっ!建野さん来た来た!」

私達が出てくるのを待っていたのか
出口でキョロキョロしていた
さっきの4人組の1人が
私の方を見ながら手招きをしている。


手招きされて誰が行くか。


そのまま気づかないフリをし
反対方向へ歩いて行こうとする私に



「建野さーん!!」


大声で叫び、走りよってくる4人組。


さっさといなくなってほしいのに

何でわざわざ
私に絡みにくるのだろう。

だんだんイライラしてくる。




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