叙情
残っていた食材を冷蔵庫から出し
再び、すき焼きを作り始めている。


自分で
嫌な女だなって思う。


分かってるのに、

何だか・・・このままじゃ

すき焼きという食べ物自体が
嫌な思い出になってしまうんじゃないかと

もしかしたら、この事がきっかけで
食べなくなってしまうんじゃないかと思ってしまい


スタート地点に戻れば、思い出の上塗りができるような

そんな気がした。




そして、40分ほど経った頃


「おかえり」


「ただいま。って
また作ってくれたのか!?」


「あ、うん。
高級肉は、さっきのに入ってたから
昨日買った特売肉だけどね」


「全然いい!!あー腹減った。
もう食えんの?」


「うん、運ぶね」


さっき準備してくれていた本の上に鍋を置き


卵を入れたお皿を渡すと



「いただきまーす」


勢い良く食べ始めた。





< 139 / 264 >

この作品をシェア

pagetop