叙情
「怖くないんだ?」


「・・・・」


幽霊が出るとか知らなかったし・・・。


「まぁ・・・狭いけど
外よりは いいっしょ?」


たしかに狭いけど・・・
天井は若干高く
声の主との距離も
あと1人は間に入れそうなスペースがある。


「はい、ありがとうございます」


「どういたしまして。って俺んじゃないけどね。ははは
明かりつけた方が安心する?」


「あれば・・・・
ありがたいかもしれないです」


たぶん、悪い人じゃないと思うけど
顔が見えない分
まだ、若干不安があるのはたしかだ。



「仕方ないなぁ・・・」


面倒臭そうに
そう言いながら
ろうそくに火が灯ち

ようやく、声の主の顔が
炎に揺られる中、姿を現した。


目鼻立ちが整ったような顔、
そして無精ヒゲに、所々が明るい髪色なのが
うっすらと分かる。


幽霊じゃない事はたしかだ。


そして、たぶん

悪い人でもないような気がする。





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