叙情
「苦しいんだけど」

「もー、何か総ちゃん
冷たい」


頬を大きく膨らませ
可愛い顔で見上げている。



「はいはい、分かった分かった。
そういや、真弓
風呂入れてくれた?」


「あ、うん。
6時に予約してたから
もう溜まってると思う」


「んじゃ、風呂入ってくる」


「私も一緒に入っていい?」


甘えた声で
まひろさんが総一に言うけれど

この前の事を引きずっているのか



「俺の後に真弓が入るから無理」



そっけない態度で
まひろさんをよけるように
バスルームへと向かった。



その様子を見ながら


「まだ総ちゃん怒ってんのかな?」


私に、そんな質問を投げかけている。


「ねぇ、真弓ちゃん
どう思う?」


どう思うって聞かれても・・・



「久しぶりに会ったから
照れてるとか・・・」



思ってもいない事を言ってしまっている私は

何なんだと自分で思う。
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