叙情
「そうかなぁ?
甘えたら
その気になってくれるかな?」


「分かんないです」


そもそも、その気の意味が
何を指してるのか
私には分からないし。


「でも、テーブル持ってきてくれてるって事は
やっぱり、私の事考えてくれてるって事だよね?」


「・・・ですね」


私は一体
どうしたいんだろう。


もう自分で自分が分からない。


嬉しそうなまひろさんを見ながら
思ってる事と全然違う事を言ってしまっている自分に
だんだん嫌気がさしてきている。


うまくいってほしくないのに
うまくいくように細工している私は

矛盾だらけだ。



ちょうど、そんな時

玄関のインターフォンが鳴り


「私が出てくるから
テーブルに料理並べといて」



いや、別にわざわざ出なくても
液晶画面で確認すればいいだけの話だし・・・


そもそも鍵かかってないし・・・。


それでも、何も言えず

言われたように

料理を温め、飲み物もテーブルに並べ
準備に一人ドタバタとしてしまっている。








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