叙情
そんな事を考えていたら

扉の隙間から見える外の景色は
いつの間にか暗くなっていた。


この中にいると
暗いせいか
時間感覚が分からない。

時計を見ると

7時20分になっている。


やばっ!お母さん帰ってきてんじゃん。

慌てて

中腰で立ち上がり
小さな扉を開けると


「帰んのか?」


寝ていた男の目が開き
出ようとしている私の方を見ている。


「お世話になりました」


そう頭を下げ
外に出ようとすると


「おい、ガキ。
俺も、ちょっと便所行きてぇから
そこまで行くわ」


便所って・・・


そして、私に続き男も

外に出ると、大きく体を伸ばし


「すっげぇ、真っ暗じゃん。
雨止んだな。
ガキのお願いが聞いたか。はは」


ほんと、この男は・・・・


でも・・・
こんな真っ暗だと
この道から道路に出るまでが怖いし

失礼でデリカシーの欠片もない男だけど・・・

一緒に歩いてくれて正直助かった。
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