叙情
誰とも話さないのが
こんなつらいものだとは思わなかった。


時間が、長く長く感じて

10分すらも長く感じる。


けれど、そんな長い時間を
じっと耐え・・・


ようやく、ようやく
リオンくんが帰って来て

何だか、無性にうれしくて

車の音と足音で

「おかえりなさい」


なんて玄関まで出迎えてしまっている。


「た、ただいま?」


そんな私に驚いた表情を浮かべているけれど・・・



「からあげしか思い浮かばなかった・・」



テーブルに唐揚げと、味噌汁、ごはんを並べながら
そう言うと


「最高じゃん」



子供のように喜んで
食べてくれている。



「多めに作ったから
明日、お弁当・・
持って行く・・?」



「マジで!?いるいる!
うわ、マジうれしいんだけど」



そんな喜び方を見てしまうと


「え、そんな期待しないでね。
私、あんま料理できないから」


お弁当箱を開けて
ガッカリされる前に言っておかなくちゃ。






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