叙情
「真弓ちゃんが作るなら
白飯だけでも食うよ?」


「いや、それは言いすぎだと・・」


「マジマジ。」


そんな会話の中

リオンくんの携帯が鳴り響き

名前を確認すると

無表情になってしまっている。



「はい・・・・」


暗い声で電話に出ると

私の方に一瞬目を向け

そのまま、ベランダの方へ出て行ってしまった。


そして、しばらくすると


「ごめん、真弓ちゃん
ちょっと出てくるけど
大丈夫?」



申し訳なさそうに
上着を羽織っている。



「うん、大丈夫」


「すぐ帰ってくるから。」


「うん」





けれど、その日

リオンくんが帰ってくる事はなく・・・


私は、連絡手段すらもなく


ただ・・・待つしかないまま
時間は過ぎていっていた。



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