叙情

逃げ場所

いつもより遅くなってしまったから

お母さん怒ってるかもしれない。

心配してるかもしれない。

そんな事を考え玄関を開けると


「おかえり。ごはんできてるよ」


「うん、ただいま・・・」


いつもと同じ・・・。


怒られなくて良かったのに、


心配かけてなくて良かったのに、


何だか・・・・・


「陸、おかわりする?」


「いや、もう今日は腹いっぱい」


「そう?
あっ、そういえば
陸の好きなリンゴ買ってきてるから
剥いてあげようか?」


「お、食う食う!」


「じゃあ、ちょっと待ってて」



私は・・・


もう、お母さんにとって

どうでもいい存在のような気がして

このまま私が消えてなくなっても

元々、存在しなかったかのように歯車は合わさっていくんじゃないかと

そんな気がした。

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