叙情
そして、また
私は、学校が終わると
木々に囲まれた階段を上り
不気味な砂利道を歩き
賽銭箱近くの階段に座りながら
ただ、時間が経つのを待っている。



「ガキ、また来たのか?」


背後の小さな小屋から
あの男性の声が聞こえる。



「うん」


振り向きもせず
そう、一言だけ答えた。


「まー、むさ苦しいとこだけど
茶でも飲んでけよ」


その言葉と同時に

ギィーっと

扉が開く音が耳に入り


「ほら、入れよ」


そんな声に

ただ、やしろへと
腰をかがめ中へと入った。



「ほいっ」


座ったと同時に
缶ジュースが投げられ


「ありがと・・・」


「さっき買ったやつだから
安心しろ」


少し冷えたオレンジジュースを
両手で握りしめながら
時折、口に運び
ろうそくの火を
ただ見つめている私を


「ガキも大変だな」


そう言うと
昨日と同じように
横になり、目を閉じている。





< 20 / 264 >

この作品をシェア

pagetop