叙情
「真弓、寝るぞ」
大雑把に片づけをし、洗面台の前で歯磨きをする私の後から
総一の顔が鏡越しに見えている。
「うん、おやすみなさい」
そう言いながら
口をすすぎ、タオルで口を拭き
脱衣所の電気を消し
廊下に出ると
「ひゃっ!?び、ビックリするじゃん・・・」
脱衣所を出たすぐ横に
総一が壁に寄りかかるように立っていた。
「もう寝る?」
眠そうな表情で
あくびをしながら
そう聞いてくる。
「うん?」
その言葉に
総一は部屋へと歩き出し
私もその後を歩き
自分の部屋の方へ向かっているわけだけど・・・
総一の部屋を通り過ぎようとする私の手を掴み
「何してんの?」
その言葉に振り向き
「え、寝るんだけど・・」
何か怒ってる・・・?