叙情
そして、受話器を頭で外すように
地面に落とすと

めくれたスカートから見えている番号を見ながら
口でペンを加え

震える口元で
慎重に、ゆっくりと
ダイヤルを押していく。


プルルルルル・・・プルルルルル・・


地面に落ちた受話器に
耳を押し付けるけれど



出ない・・・


頭が真っ白になってきている。


「はい」

で、でた・・・!



「総一、助けて」


「真弓!?」


「縛られてて
動けないの、助けて・・」


「は!?何だよ
意味わかんねぇ」


「お母さんいなくて
男が・・・」


涙が出てうまく言葉にならない。


「この番号の家だな?」


「うん」


「すぐ行くから待っとけ」


「うん・・・・」


総一の声で安心したのか
そのまま一気に涙が溢れてしまっている。




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