叙情
全身が震えている私の体を
優しく包み込むように抱きしめると


「大丈夫か?
ケガは?」


「だ、だいじょうぶ・・・」


子供のように泣きじゃくり
総一にしがみついている。


そんな状況を知るはずもない人達が2人・・・


玄関の鍵を開ける音と共に
現れてしまうこのタイミングは
本当に最悪なんだと・・思う。


「ま、真弓?
誰その男は!?」


総一に抱きついている
この状況だけで判断しているお母さんは
本当・・・おめでたい人で・・・


「陸!ねぇ、陸ってば」

そう言いながら
あの男を頼りにしている


本当、最低な人・・・・


そして、


「さゆりさん、早く行かないと
仕事遅れるよ。」


平然と姿を現す
この男は


最低以下の鬼畜だ。





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