叙情
けれど、私の顔を見るなり


「真弓ちゃん?そんな驚いた顔して
どうしたの?」


しらじらしい演技をする。


「と、とりあえず
真弓、話をしましょう。
中に入って・・・」


と部屋に入るお母さんは


「何なの!?何!?」


散乱したガラス片と
大きく割られたガラス

そして、激しく破壊されたふすまを見て

取り乱すように叫んでいる。


その姿を見ていると・・・


「お母さん、私
その男に監禁されてたんだけど。」


そう言いながら
男の方を見る私に

「何・・・?」


信じられない様子で
声が震えているお母さん。


「陸、ウソでしょ?」


「ウソに決まってんじゃん。」


「そ、そうよね・・
真弓、どういう事か説明してちょうだい」


「っ・・だから」


何だか・・・言うのバカらしくなってきてしまう。


この様子だと、お母さんは
私の事よりも男の言う事を信用するんだろう。

それなら、何を言っても

ムダなのかもしれない・・
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