叙情
「付け加えると、俺が惚れた女で
親父と結婚すんのは
まひろで2人目。
まぁ、前回も俺の家庭教師ってやつで来た女なんだけど」


「え・・・どういう・・・」


「女って、家ん中の経済状況知ると
必死になるよな。
まひろも同じだろ?
俺に近づき、親父に言い寄られたら
確実に楽できる方にいったじゃん?
まぁ、親父と結婚した理由ってやつを
まひろは言わないままだったけど
前の女も同じ方向にいったからな。
まひろと同じで、俺とも切らず親父と夫婦演じて
結局、妊娠しましたーって言い出したから
即離婚されてさ。
挙句に俺の子だと平然と言い出して
ありえねぇーって笑いが出たくらい。
まぁ、一気に冷めたけど。」


「え、な、何で
妊娠したら離婚されるの?
意味分かんない」



「親父、パイプカットしてんだよね。」


「パイプカット・・・?」


「そ、子供できないようにしてんの
俺以外の子供はいらないんだとさ。
まぁ、財産目当てで近寄ってくる奴らが多いから他人を信用しねぇっていうのかな」


平然とそう答えているけれど
普通の感覚としては
頭の中に疑問が浮かぶのは仕方のない事であり・・・

私同様
まひろさんも
唖然としながら
総一を見ているわけで・・・


「総ちゃんは・・・・?
総ちゃんは何で・・・」


「あぁ・・・俺は
無精子だから」


「・・・何それ・・・」


「15ん時
親父に調べさせられたからな」


「え・・・、意味分かんない」



「15ん時付き合ってた女が
子供産みましたって別れて1年くらい経った頃に子供連れてきてさー
まぁ、俺の子であれば
いろんな金銭問題というやつがでてくんだろ?
んで、親父がとことん調べろって
病院で検査とかしまくって
いやー、あれはマジで多感な年頃の俺としては屈辱だらけの検査だったけどな。
そこで分かった事が
俺には子供は作れないって結果でさ。
つー事で、俺の子でも親父の子でもないって事なんだけど?」


「何で・・なんで
今・・そんな事・・・」


「まひろ、親父に試されてたんだよ」


うろたえ動揺しているまひろさんに
あっけらかんと答えている。

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