叙情
「俺が惚れた女を
あの親父が横取りすんのも
女の素性を試してるから。
あの、クソ親父マジでたちわりぃからな。」


「え・・・じゃ、じゃあ
総ちゃんと私の関係って・・」


「最初から知った上で
どうなるかって高みの見物してたって事スね。
5年様子を見て、まひろが
本気で俺を好きであれば
認めるって事だったんだけど
3年でアウトだったなー。
まぁ、その前に
真弓っていうガキが途中で入ってきたから
試用期間も何も
どうでもよくなったんだけど」


呆然と、ただ聞いてるだけの私に


「真弓の場合は
俺の家柄も何も知らない状態でのスタートだったからな。
何の計算もないガキだったし。
たまに金の心配までするし。
おかげで、親父が
すんなり、この家用意してくれたけど」


そう言いながら
私の頭を軽く叩くと
笑っている。


「わ、私・・・どうすれば・・」


泣きそうな声で
床に置いてあるエコー写真を
眺めている。


「その子供の父親んとこに行けば?」


「そんなこと・・・」


「リオンだろ?」


リオンくん・・・?


驚いた様子で
総一の顔を見上げている
まひろさん。


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