叙情
何が何だか分からない私は
ただ、黙って2人のやりとりを見てるしかないわけで・・・


「総ちゃん・・・1つだけ教えて。
私が・・・あの人と結婚しなかったら
どうしてた・・?」



「俺も真剣に惚れてたしな・・・
親父が反対してるのは分かってたし
たぶん、家を出て
まひろと・・・
んー、わかんねぇわ。
でもまぁ・・・
まひろが親父と一緒になったから
今があるわけだし
神社生活は
案外楽しかったけどなー
な、真弓?」



まひろさんの気持ちを考えてしまうと

何にも言えない・・。


「あの人は・・・
私の事、本気で好きなわけじゃなかったんだね・・・」


「さぁ・・・それは
俺にはわかんねぇけど・・・
賭けだったのかもしれねぇし。」


「賭け・・・?」


「結婚と同時に俺と切って
親父一筋になるか
そのまま、俺と関係を続けて
いつか俺のとこに戻るかってな。
どっちにしても、最終的には
どっちかを選ばないといけなかったわけなんだし。
まさか、前の奴と同じで
他所で子供作ってくるなんてさすがにな・・・」



そう言う総一の表情が
少し悲しそうに複雑な笑みを浮かべている。



何だか・・・・


胸の奥がズキズキする。


まひろさんの事
本当に好きだった総一を・・・

初めて、神社でまひろさんを見た時の
総一の優しそうな顔を
ふと思い出し、

何だか、苦しくなっている。





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