叙情
「別に、何も」

「何ふてくされてんだよ?」

「何もないってば」

そう言いながら
総一に背を向けるように
横を向き目を閉じると

背後から、呆れたようなため息が聞こえる。


分かってる。
ただのワガママだって事くらい。


でも・・・・


自分の苛立ちが抑えられない。



「真弓?何怒ってんだ?」


「何もない。おやすみ」


「あーもう・・・ったく・・」


面倒臭そうにそう言いながら
私の体の向きを無理矢理変えると


「言わねぇと何怒ってんのか分かんねぇって」


「別に・・・・」


「じゃあ、何でそっち向くんだよ?」


「・・・・・・」


まっすぐと私を見ている総一の目を直視できない。

ただのワガママ。

ただの・・・。



「俺、何かしたか?」


首を横に振る私に
再びため息をつくと


「じゃあ、何?」

「・・・・・」


沈黙が続いてしまっている。
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