叙情
「初めてだって分かってたから
優しくしたつもりなんだけど
やっぱ、痛かったか?」


「・・・大丈夫」


「子供はできねぇから安心しろ」


「・・・・・」


「もし真弓が大人になって
子供がほしいって思ったら
ちゃんとした男見つけろよ?」


そんな事言っている総一の顔は
何だか・・・

すごく悲しそうに見えて・・・


「総一がいればいい・・・」


そう言いながら
抱きついた。


そんな私に


「ガキが気遣うなよ」


誤魔化すように笑っている。



あぁ・・そうか。

私は、こういうところが

たまらなく好きなんだ。


本心を隠して、心配させないようにして・・・

優しいのに、優しくないフリをして

全部一人で背負って・・・・


そんな総一を

守りたい、助けたい・・・


なんてガキの私が思うんだ。


愛しくて、愛しくて

すべてを犠牲にしてでも
総一を守りたいって思うんだ。



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