叙情
「ヤラれる前に
気持ち悪くなって
吐いちゃったから・・
ヤラれなかった」


「は?吐いた?ゲロを?」


「うん・・・」


「ぷっあははははマジか~はは
もちろん、その男の顔に吐いたんだろ?」


「そ、そんなわけないじゃん!」


「何だよ~、どうせなら
顔にゲロ吐くとかしろよな~
そうかそうか、はははは
防御作戦大成功だったんだな」



やはり、この男には
デリカシーは存在しないらしい。


・・・まぁ、おかげで

暗い雰囲気にならずにすんだけどさ。


というか・・・

まさか、こんなふうに
あの事を人に話せるなんて
思ってもみなかった。


しかも、話して同情されるとかじゃなく
笑われるなんて
予想外もいいとこだ。

こうして、私の家出生活は始まり

この男との
ホームレスのような同居生活は幕を上げた。
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