叙情
▼私という存在

家族

「クソガキ、いい加減起きろ」

「んー・・・」




「ったく、ガキっ!おら、起きろ」



「いった・・・・
もう・・・毎日毎日
蹴らなくてもいいじゃん・・」


「さっさと起きねぇからだろ」


座りながら歯磨きをし
私の体を足蹴にしているこの現実が
今の私の寝起きの生活スタイルというものになりつつある。


そして、ノソノソと這うように起き
顔を洗い、歯磨きをしたら
男が私の前に菓子パンを差し出すのだ。

そう、あの女性が持ってきてくれた菓子パンを・・・。



そして、静かな静かな時間を過ごすんだ。


鳥の鳴き声、虫の鳴き声
時折聞こえる木が風に揺れる音
まるで時間が止まってるんじゃないかと錯覚さえしてしまいそうになる。

私は、外の階段に座り
ただひたすら
何も変わらない景色を見ている。


そして、男も

階段上の少し広いスペースに寝転がり
空を、ただ眺め

整った呼吸が聞こえ始めた頃には


・・・熟睡中だ。
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