叙情
「何だ?おいおい
今更、俺の顔にときめいたか?」


そう、からかうように
うつむく私の顔を更に覗き込んでくる。



「も、もう!
慣れてないのっ!!」


両手で男の体を押しながら叫ぶと


・・・・やっぱりね。


声を殺すように
笑い転げている男の姿。



笑うとは思ってたし・・・・



「くっ・・ははははは
マジ、腹いてぇ・・・ははは」


そして、

数分後、ようやく笑いが収まり



「あー・・・ごめんって。な?
機嫌直せよー
可愛くてさ、ついつい・・」


散々笑い転げた後に、よく言うよ・・・


「別にいいし・・・」


「まーゆみちゃん?」


ちゃんって・・・・


「な、ごめんって。」


そう言いながら
私の手を取ると
そのまま、軽く手の甲にキスをし


「これで仲直りな?」


な・・・な・・・
お前はどこの貴族だよ!?


「何、もう一回してほしいのか?」

「え、いや・・大丈夫・・」

「ほんじゃー、仲直りな」

「うん・・」


仲直りも何も
そもそもケンカしてないんだけど・・・

ほんと、意味不明で
不思議な人だ。


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