叙情
「はいはーい、あー・・
今起きた。
あぁ、ごめんごめん」


電話で話ながら
そのまま外へと出て行ってしまった。


まだ、男の・・・総一の匂いが微かに私の体に残ってるような気がする。

唇の体温、舌触り

すべてが・・・まだ感じられる。


それだけで、充分。


それだけで、私は大丈夫。


タオルを手に、外に出ると
昨夜の雨がウソだったんじゃないかってくらい
眩しいくらいの青空が広がっている。


暑いくらいの日差しに
大きく両手を広げ深呼吸すると
水道の所へ行き
勢い良く頭から水を流し



「ほら、シャンプーいるだろ?」


電話を終えたのか
総一がお風呂セット片手に
いつの間にか背後に立っていた。


「ありがと・・・」


「んじゃー、俺のも洗って」


「は・・・?え、ちょ・・!?」


いいなんて一言も言ってないのに
頭から水をかぶり
シャンプーを髪に垂らすと


「早く洗って」


私の前にしゃがみこんだ。


自分のもまだ洗ってないのに
何だ、こいつは。


とか思いつつ


普通に洗ってあげてるけどさ・・・。


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