叙情
そんな近所迷惑な車で
ドラッグストアへと行き
髪のカラー剤や、髭剃りを買い


「真弓には、これな」


そう言いながらカゴの中に
化粧品を放り投げた。


「化粧するの?」


「元のパーツはいいんだから
ちょっと手加えれば
すぐ彼氏でも何でもできるような顔に仕上がるぞ。
ついでに、化粧水もか」


私の為に、いろいろなメイク用品を買ってくれる総一を見ながら

うれしいのか悲しいのか分からなくなってきている。


ラブホへ到着し、部屋へ入るなり
そのままバスルームへ行き
お湯を溜め始めた。


「よし、まずは
真弓の髪から染めるか」


張り切ったように
私の髪に薬剤を塗りこみ


「はい、俺のして」


私は、総一の髪を染め


「眉毛もするかー」


という言葉と同時に
私の眉にも、総一の眉にも
白い薬剤が塗られ

頭にはラップを巻き

何とも言えない2人の姿に


「ラブホ来て、こんな事すんの俺達だけかもな。ははは」


2人して笑っている。


< 61 / 264 >

この作品をシェア

pagetop