叙情

嫉妬心

ラブホテルを出てすぐ
総一の携帯が鳴り

画面を見ながら

「めんどくせぇな・・・」


そう独り言のように呟くと


「はいはい、あぁ。
どうかした?」


普通に話す総一とは違い
電話越しの、女性の怒鳴り声が
私の耳にまで聞こえる。



「ははは、ご名答っスね。
じゃあ・・・
この先にあるホームセンター分かるだろ?
そこの駐車場で停まっとくわ。
はいはい、じゃあな」



大きくため息をつくと、



「真弓、悪い。
俺、ちょっと話があっから
すぐ終わらせるからさ。
車ん中で待っててくれる?」


「うん、分かった」


「ごめんな?」


そう言いながら
私の頭を2回そっと叩くと
駐車場へと入り

それから1分も経たないうちに

赤い可愛い軽が
勢い良く、隣に駐車した。



そして、怒った様子で
運転席から飛び出してきた姿と同時に
総一も外へ出て行った。


やはり・・・

この前の女性だ。

総一の彼女であり継母だという

あの女性だ・・・。



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