叙情
▼居場所

お試し彼氏

この家に越してきて
一週間が過ぎようとしている。

寝る時は別々だけど
それ以外は、ほぼ
テレビしかないリビングで
毛布を床に敷き
2人並んで座り
時折、総一の気分でキスを交わし
のんびりとした空間の中過ごしている。


「そろそろ腹減ったな・・・」


「あ、じゃあ
私、何か作る」


「作るって・・真弓作れんの?」


「普通程度なら・・・」


「じゃー、真弓を信用して
ちゃんとした道具と材料でも買いに行くか」


「うん、あ・・・でも・・」


またお金かかる・・・


ただでさえ、この家の家賃とか
家具とか相当な金額を総一に出してもらってるのに
また・・・


「ガキが金の心配すんなよ」


まるで私の心を見透かしたように
そう言うと上着を羽織った。



「ほら、何してんだよ?
行くぞ?」


「う、うん」


総一に促されるように
上着を着て
車に乗り込んだ。
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