On Your Marks…~君と共に~



__ズキっ…!





頭に強い痛みが走る。





「…っく…!」








あたしは思わず顔をゆがめて頭を抱える。




「……っ!澪っ!紗子っ!車今すぐ用意して来い。俺が運ぶ。」



「え、ええっ!」



お父さんが、あたしの異変に気づいて的確に指示を出す。



痛い……




痛い……




これは、記憶が戻る予兆なのだろうか。


いや、きっとそうだ。


__ねぇ、瞬。もうちょっと待っていて。きっと、あたしが目を覚ますころにはあなたのこと全部思い出しているはずだから。



だからね、もうちょっとだけ。


もうちょっとだけ、そこで待っていてね。




そしたら、あたし、心から笑える気がするんだ。
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