『大好き』っていいね

試合



そして、試合当日。

「希奈。…少し走ってこない?」

試合1時間前。

キャプテンの笹野紀 杏里(ささのき あんり)ちゃん。

今年から仲良くなったの。

杏ちゃんは、無口であまり話さない。

でも、サッカーはうまい。

1年生からも2年生からも、憧れの存在感。

マジでかっこいいんだよ。

「うん。行こっか。」


私たちは試合会場の外で10分ていど、走ることにした。

「まだ8時なのに、結構暑いよね。」

私が杏ちゃんに話しかけると、コクッと頷く。


それにしても、杏ちゃんから話しかけてくれるって、滅多にないから、今日はついてる〜。

「あっ。希奈先輩‼杏里先輩‼おはようございます。走り込みですか?」

彼女は1年生の斉藤 由美(さいとう ゆみ)ちゃん。

しっかりしてて、早くも次のキャプテン候補。

しかも、サッカーは小さい頃からやってて、すごくうまいの。

つまり、由美ちゃんのが先輩。

私は去年から始めたはがりで、初心者。

でも、1年半で結構上手くなった方。

今はMFだけど……。

まぁ、私がシュートしたところで、入りませんけどねぇ。

「おはよう。そうだよ。由美ちゃんは先に行って、今のうちにストレッチしておいてね。」

「はい!わかりました。では。」

由美ちゃんは駆け足で去って行った。

本当はこれ言うの杏ちゃんなんだよ。
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