『大好き』っていいね
「言って来まーす。」

「言ってらっしゃい。」


自分から帰るって言ったくせに、足取りが重い。

家に帰っても、お母さんの「お帰り」が聞けないんだ。

会いに行けば良い話し何だけど。

毎日会えないのは、やっぱり辛いなぁ。



「ただいま。」

「あ、希奈、お帰り。」

「「………」」

なんで、無言になっちゃうかな。

「希奈、話しがあるんだ…いいか?」

お父さんは悲しい顔をしながら言った。

何の話かわかってる。

受け入れたつもりのに、それはつもりでしかないの?

すごくイライラする。


「お母さんの事なんだが…」

「出て行ったんでしょ?お母さんから連絡来たし。」

「…あぁ。悪かったな。希奈が望んでたように、ならなくて。」

プツッ

何かが切れたような気がした。

「良い加減にしてよ‼」

「っ!?」

私の大声にお父さんはビックリしていた。

「何が悪かったよ…。そう思うなら喧嘩なんてしないでよ‼ちゃんとお母さんの事、わかってあげようとしてよ‼」

「それで、話し合った結果なんだぞ。」

そんなお父さんも少しキレぎみ。

「お父さんは自分のことしか考えてないじゃない。」

「どういう意味だ。」

「お父さん…お母さんの気持ちどんな気持ちだったかわかってるの?」

「っ…わかってるさ。」

「わかってない。希奈、お母さんとお父さんをずっと見て来たんだよ?何で喧嘩したかも知ってるんだよ⁇なんで、わざわざ嘘つくの?」

パチン

「な、なにすんの?」

お父さんが私をビンタした。

私は泣きたいところを我慢した。


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