『大好き』っていいね
すると、頭にあたたかいものがあった。

「喧嘩したってことは、ちゃんとその人のことを知ってるから、いろいろ言えるんだ。悪いことじゃない。しかも、謝ろうって思う気持ちは誰にでも思えることじゃないから。希奈は、良い子だな。」

竜兄は私の頭を撫でながら言った。

やっぱり、謝ろう。

許してもらえなくてもいい。

仲直り出来なくてもいい。

言えればそれでいいんだよね。

「…うん。明日、謝る。」

私は少し顔をあげる。

竜兄はニコッと笑ってくれた。

「頑張れ!!」

竜兄はそれだけ言って「晩飯〜。」と言ってキッチンに向かった。

竜兄のそう言うところが好きなのかな?

一緒にいて落ち着く。

ありがとね。

竜兄、大好き!!

なんて、私は口にすることはできなかった。
< 56 / 137 >

この作品をシェア

pagetop