『大好き』っていいね

そう言って、竜兄は離れた。

一体どうしたんだろう。

「…お前の母親ってさぁ。」

「うん?」

「酷い事言うわりには、結構希奈を大切にしてるよなぁ。」

「そうだね。お母さんって、本当はちょっと意地っ張りなのかな?」

「そうなのかもな。」

「それとね。お父さんとお母さんが離婚する前に、お母さんがさぁ。希奈を産んでよかったって。希奈がお母さんの子でよかったって。だから、お母さんと言ってたこと嘘だと、信じたい。」

竜兄は頭を撫でてくれた。

「じゃあ、希奈はお母さん似だな。」

「そうかな?」

「素直じゃないとことかな。」

竜兄はクスクス笑ってくる。

そうだよね。

お父さんに似なくてよかった。

お父さんに似たら自分勝手な奴に産まれてたかも。

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