『大好き』っていいね


帰り道。

少し前を歩く竜兄の後ろを歩く私。

こんなに不安になってしまったのは、いつぶりだろう。

私はそっと、竜兄の手を握る。

すると、竜兄はニコッとする。

笑いかけてくれる竜兄は、いつか、いなくなってしまうかもしれない。

そんなの嫌。

私は握っている手に力をいれる。

「どうした?」

竜兄は心配そうに話しかけてくる。

「泣きそうな顔だけど。」

心配してくれる。

ほんのちょっとの事が、凄く嬉しい。

けど、あと、どれくらいで見れなくなるんだろう。

「家に着くまで泣くなよ。話もちゃんと聞くから。」

昔、誰かが、竜兄と同じ事言ってた。

私は小さかったから、よく覚えて無いけど。


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