『大好き』っていいね
「…立ち話もなんだし、何処かの店に入りましょう。」
私たちは近くの喫茶店に入った。
ついでに、場所、竜兄に伝えておかなきゃ。
「…私はコーヒーにするけど、希奈は何にする?」
そう言われた後すぐにいすに座った。
「じゃ、アイスコーヒーで。」
私はそう伝えると、お母さんはすぐに店員を呼んで注文した。
「それにしても、前は気づかなかったけど、髪おろしてるのね。」
お母さんは戸惑った感じで話す。
私は胸くらいまである髪の長さ。
邪魔だとは思わないから結ばない。
前までは、お母さんが勝手に結んでた。
「自分では、うまく結べないので。」
「だったら、今から美容院行きましょ。イメチェンでもして、気分を変えるのよ。」
「今のままでいいので、遠慮しておきます。」
なんでそんなに私と暮らしたいかなぁ。
もぅ、お父さんと暮らしてないから良くない?
「…そぅ。…そんなに竜黒君が好きなのね。」
お母さんは俯いて話し出す。
「私より、他人だった、彼を選ぶのね。」
急に泣き始めた。
顔を手で隠すようにして。
こんなところで泣かれても困る。
「…はぁ。でも、竜兄はあたしを助けてくれた人です。…お母さんと暮らすことを拒んでるわけではないですよ。」
その一言だけ伝えた。
お母さんは少し笑顔になった。
よかった。
「…そう。ごめんなさいね。」
謝るほどなら、泣かないでもらいたい。