LOVEPAIN③


「そりゃあ、お礼はしたいけど相手の女の子がどこの誰か分からないなら、

どうにも――」



「じゃなくて、別に特に何も盗まれてないなら、
被害届けを出す必要はないだろ?」


そう言われて、確かに私は盗難事件の被害者だと思った




「どーせ、この手の犯罪は犯人なんか見付からないだろうしよ。

あそこのスタジオ、
防犯カメラも付いてなかったし。

それに、何も盗られてねーのに」



なんとなく、成瀬の口調から、
この件が段々と面倒臭くなって来ているのが分かる……



早く、帰りたいって空気が伝わって来る




「――もう、いいです」



確かに、もう鞄と荷物が無事に戻って来たから、
これでいいのかもしれない






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