LOVEPAIN③

ナツキは、そのキスが深くなる前に、自ら唇を離した




「――楽しいから」



「えっ?」



「ケイと広子ちゃんを引っ掻き回すのが楽しいから。

ただ俺、ケイが落ち込んで傷付く姿が見てみたいんだよなぁ。

可愛がってるアイツから、こうやって大切なものを取り上げようとするのも、

楽しくて仕方ない」


声を出さずに、広角を上げて笑うナツキ



彼は本物のサディストだ、と思ってしまう




「じゃ、俺は帰る」


ナツキは私から離れて、スタスタと歩いて行く




私は暫くナツキの背を見ていたが、
踵を返して逆方向に歩き出した





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