LOVEPAIN③
「無理だよ……」
前迄、そんな事言ってなかったじゃない
“――AV女優なのはそりゃあ嫌だけど、
簡単に辞められるもんじゃないだろ?――”
「契約か?
それが有るから辞めれないんだよな?」
その契約が意味のないものだって、今の私は分かっているけど、
それを須田に伝える事は出来ない
「――そうだけど……。
でも、それだけじゃない……」
どうしても続けたい仕事ではないけど、
そんな風に辞めろと言われても、困る
「あの、成瀬って奴さえ居なきゃあ……」
もう須田には私の声なんて届いていないみたいで、
その感じが常軌を逸っしている
須田は私から離れると
キッチンに行き、
シンク下の扉を開けてそこから包丁を取り出していた