LOVEPAIN③


「――その包丁、どうするの?」


そう言った私に、
須田は視線を向けた




「篤が言ってたけど、あの成瀬って奴も、
このマンションの10階に住んでんだろ?

ぶっ殺してやる。

あいつさえ居なきゃあ、広子は自由だろ?」




なんでそうなるの、と叫びたい


須田の目は本気で、
本当に成瀬に何かをするかもしれない




「嘘でしょ……。

辞めてよ!」


飛び付くように、須田の腕を掴んでいた


その力は強くて、目の前で包丁の刃が光る度に、

体が震える



辞めてよ――






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