ＬＯＶＥＰＡＩＮ③

「――私には大切な人が居ないから。

大切にしないといけない人が、居ないんですよ」



好きな成瀬の側に居たいとか、その成瀬の為、でもあるけど、

それは話す必要はないだろう



こちらを、ジッと見ているナツキの目


その二つの目に、悲哀が浮かんでいる



でも、それは私がナツキに対して、
その彼氏で有るナツキも含め、大切な人が居ないと言う事に、

傷付いているわけではないと思う


そりゃあ、ＡＶ女優になった時には、まだナツキと付き合っても無ければ、
出会ってもいなかった


ただ、ナツキと付き合ってからも、
私は気持ち的にもなにも変わらずＡＶ女優を続けているから


だから、彼氏だとしても、
私にとってナツキは大切な人ではない



それをナツキは訊かなくても分かっているだろうし、
その事で傷付くはずがない



なら、今、何故、ナツキは哀しいのか？



そのわけを訊ねようとしたら、
逃げるように、視線を逸らされた