LOVEPAIN③
「じゃあ、ドンペリのゴールド、10本入れて」
「じゅ、10本ですか?!」
成瀬の言葉に驚くカズを見ていて、
とんでもない事を言っているんじゃないか?って、
成瀬を見てしまう
ドンペリ
多分、お酒の名前だろうけど、
それはとても高価なものじゃないだろうか?
それを、10本って
カズがウェイターに、その成瀬の注文を告げている
成瀬は、先程頼んでいた、
カフェパリを自らワイングラスに注いで、飲んでいる
突然、一人のホストがマイクを持って店の中央へと来た
「ドンペリゴールド10本!!
うちのエースのナツキに頂きました!!」
マイクを通したその声が店中に響き、
店内が騒がしくなる
一体、何が起こったのか?と、
私は目をキョロキョロとさせてしまう
「――コールはいらないって、言えば良かった」
成瀬はまたグラスにカフェパリを注いでいるから、
けっこうなペースで飲んでいるみたい
まだ風邪も完全に治っていないのに、大丈夫かな?
にしても、これが噂で聞くシャンパンコール?!
「ナツキの為にドンペリゴールド10本も頼んだ姫から、
ナツキに愛のメッセージを!」
そのマイクを持っていたホストは私達のテーブルへと来ると、
私にマイクを向ける
私は困って、成瀬に目線を向けた