LOVEPAIN③
「もしかして、ナツキに求愛するのは姫ではなく、
この素敵な王子?」
そのホストは機転を利かしたのか、
私から離したマイクを成瀬に向けた
成瀬はため息を付くと、
そのマイクを受け取って立ち上がった
ふと、向こうを見ると、
ナツキも立ち上がってこちらから見える位置にいた
「ナツキ、こっちで一緒にドンペリでも飲まないか?
ちょっと、頼み過ぎて」
そう言って、成瀬はそのホストにマイクを返した
そのホストは、次はナツキの所へと行き、
「その誘いに、
ナツキ王子はどう応えますか?」
そう言って、マイクをナツキに手渡していた
ずっと余裕だったナツキの表情が、
少し焦っているのが分かった
でも、すぐに冷静さを取り戻していた
「すぐそっちに行くから、
いい子で待っててよ」
そのナツキの言葉で、
店内は妙に盛り上がる
私と成瀬、そしてナツキは、その騒がしい中、
周りから浮き出たように固い表情を浮かべていた