となりにきて。

「やっと来た、悠!」


腰に手を当てながらパッチリの目で俺を睨み付ける同僚。


寺島仁(てらしまじん)

最初は女だと思い込んで、名前を不思議に思った。本当に女だと思った。背も小さくて、目がパッチリで、唇がふっくらしてて…とにかく女だと思った。


「ハイハイ、すみませんでした。」


「俺と店長だけで頑張ったんだから!」


このとおり男である。


一目惚れをしていた俺としては声を聞いた瞬間にガラガラと音を立てて理想が崩れた。


「まだ来てない奴いるのかよ…シフト表貸してくれ。」


「遅刻者は秋人くん、遅番は海くんと翔菜ちゃんと正輝くんだよ。あと、今日のお休みは志織さん。」


そうだ、シフト表見なくても歩くWikipediaさんが目の前にいたじゃないか。


質問したら答えがきっちり返ってくる、そこからこいつのあだ名はウィキ。


しっかり者のこいつにピッタリのあだ名だ。



…どこかしら抜けているけど。
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