ポジティブGIRLと愉快なBOYたち
食費に使うじゃ真面目なのか...?飛び込みで入ったお金だからもっと気楽に使う方がいいのかな。
あまり意味のないことで頭を悩ませる俺の隣で郁翔はまだ必死に考えてる。
楽しい使い方がなかなか出てこないのだろう。物凄くどうでもいいけど。
「(架月だったら、どうするのかな)」
何故かふいに平和ボケの代名詞みたいな架月になった気分で考えてた。
まだ架月のこと、多く知ってる訳じゃないけど、なんとなくこうなのかなぁって思い付く。
例えば食費、...あれ。俺と一緒じゃん。
それ以外だとしたら、なんだろう。架月の好きなもの。好きなこと。
あぁもっと、もっと彼女を知りたい。
彼女のことを一番に知ってる人になりたいなんて言わない。
架月に近い存在になれたら。それだけでいい。
こういう感情は、“好き”に似てるのかな。
そうだとしたら、俺のこれは違う。きっと“憧れ”のようなものだ。
自由で、人を惹き付けて離さない魅力。彼女の一挙一動、微かな表情の変化でさえ、見逃したくない。
俺とは正反対な架月が、羨ましい。あんな風になりたい。
だから俺は、架月に憧れてる。
郁「穂陽?...どうしたお前」
「―え?」
郁翔は涼依と顔を合わせてお互いに珍しいものをみたみたいに眉を寄せた。
郁「穂陽今、すっごい穏やかな顔してたから」
「...?」
郁「いやいやいや。え?無自覚?」
涼「そりゃそうだろ」
的確な涼依のツッコミは取り敢えず置いておいて、郁翔の言うことにどうにも理解が追い付かない。
穏やかな顔...?
俺が、架月のことを思ってて...?
「...ないない」
郁「何が?」
「なんでも」
適当にはぐらかすと、郁翔はむすっと口をへの字にしてわざとらしく機嫌を損ねた。
そんな郁翔に軽く笑って、「で」と話を変える。
「郁翔はその1万、どう使うの?」
郁「むっ...ほら、...」
涼「もういいよ」
ポケットに手を突っ込んで息をふっと吐いた涼依に、郁翔は焦ったようにあわあわとしてる。
いつまでも1万円札を片手に持ってるので、それを財布に仕舞うように言う。
初めてだ。他人のことを考えて、こんな風に言われるのは。
だけど悪い気はしなかった。
架月はとことん不思議な子だ。
あまり意味のないことで頭を悩ませる俺の隣で郁翔はまだ必死に考えてる。
楽しい使い方がなかなか出てこないのだろう。物凄くどうでもいいけど。
「(架月だったら、どうするのかな)」
何故かふいに平和ボケの代名詞みたいな架月になった気分で考えてた。
まだ架月のこと、多く知ってる訳じゃないけど、なんとなくこうなのかなぁって思い付く。
例えば食費、...あれ。俺と一緒じゃん。
それ以外だとしたら、なんだろう。架月の好きなもの。好きなこと。
あぁもっと、もっと彼女を知りたい。
彼女のことを一番に知ってる人になりたいなんて言わない。
架月に近い存在になれたら。それだけでいい。
こういう感情は、“好き”に似てるのかな。
そうだとしたら、俺のこれは違う。きっと“憧れ”のようなものだ。
自由で、人を惹き付けて離さない魅力。彼女の一挙一動、微かな表情の変化でさえ、見逃したくない。
俺とは正反対な架月が、羨ましい。あんな風になりたい。
だから俺は、架月に憧れてる。
郁「穂陽?...どうしたお前」
「―え?」
郁翔は涼依と顔を合わせてお互いに珍しいものをみたみたいに眉を寄せた。
郁「穂陽今、すっごい穏やかな顔してたから」
「...?」
郁「いやいやいや。え?無自覚?」
涼「そりゃそうだろ」
的確な涼依のツッコミは取り敢えず置いておいて、郁翔の言うことにどうにも理解が追い付かない。
穏やかな顔...?
俺が、架月のことを思ってて...?
「...ないない」
郁「何が?」
「なんでも」
適当にはぐらかすと、郁翔はむすっと口をへの字にしてわざとらしく機嫌を損ねた。
そんな郁翔に軽く笑って、「で」と話を変える。
「郁翔はその1万、どう使うの?」
郁「むっ...ほら、...」
涼「もういいよ」
ポケットに手を突っ込んで息をふっと吐いた涼依に、郁翔は焦ったようにあわあわとしてる。
いつまでも1万円札を片手に持ってるので、それを財布に仕舞うように言う。
初めてだ。他人のことを考えて、こんな風に言われるのは。
だけど悪い気はしなかった。
架月はとことん不思議な子だ。