ポジティブGIRLと愉快なBOYたち
目を血走らせながら冷静を装ってノートにペンを置く。





しかしその線はとても文字とは捉えられず、歪な曲線ばかりが書かれていた。


見た感じから動揺隠せてないから諦めろって。





グルクル、丸を書き始めた黎。


不意にそれを止めると、ゴンッと大きな音をたてて額をテーブルに叩きつけた。





痛そ...





ぴくりとも動かないのでもしかして...と思って首の脈を確認する。


...よかった生きてる。





黎「別にさ、架月のこと好きな訳じゃないんだって」




「(そうなの...?)ふーん」




黎「でも、誰かと付き合うとか、そーゆーの。ヤダ」




「...え、それってもう好きってことじゃ?」




黎「違う違う違う!」




「強がってるってことじゃ?」




黎「違う違う違う!」





全力で否定するのでそれ以上は追求しなかった。





黎「ほら、あれだよ。ふざけてバカやってた友達が彼女つくって疎遠になるみたいな」




「あー」




黎「そんな感じ」





つまり黎にとって架月は友達以上恋人以下の親友みたいなやつね。


なるほど。そういうのも有りか。





「でもさ、その友達に彼女出来たらなんだかんだ嬉しくない?」




黎「......まぁ」




「なら架月に彼氏が出来たって、そりゃ最初はちょっと切ないかもしれないけどさ。素直に喜べる時が来るんじゃないの?」





好きじゃないんだし。





そういうと黎は考え込む素振りをみせて黙りこんだ。





今度はぐりぐりとノートの一点に芯をあてて穴を掘るみたいに押している。


葛藤の証拠なのか...?





ペンを持ってない方の手で頭をかいて、「むー...」と唸り始めた。





おぉ。普段使わない黎の頭をフル回転させてるぞ、架月。


架月の力は絶大だ。





やがて決心したように、両手でテーブルを叩く。





黎「わかった。俺、架月のこと応援する」




「ほぅ」




黎「夏閃」




「何?」




黎「俺とお前で、恋のキューピットになろう」




「は?」





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