ポジティブGIRLと愉快なBOYたち
里「ーーーへぇ、面白いこと考えんだね」
妖艶に目を細めて笑う里苑さんに、思わずピンと背筋が延びる。
てか、屋上に来てから俺、ずっと正座してるし。
どうにもこの人の何を考えてるか分からない胸のうちに緊張する。
言葉を慎重に選ばないと、凄いことになりそう。
この前の黎とのやりとりをおおまかに説明したうえで“それとなく聞き出す”方法を問うと、「ふーん」と小さく唸って見定めるみたいに俺を眺めた。
冷や汗が出てくる。眼光が鈍く射るように鋭くなる里苑さん。
やべぇ、怖ぇ。なんでこんな取り調べ受けてるみたいになってんの?
まず架月の名前出した瞬間からなんとなく目付きが変わった。
まさか里苑さんも脈あり?それとも架月となんかあった?
架月が黎の誘い断ったのと関係してる?いや、ただ勉強したくなかっただけかもしれない。
「、あの」
里「...ごめん、」
「?」
思わぬ里苑さんからの謝罪に、あからさまに顔を歪めてしまう。
そんな俺を気にしないで、里苑さんは落ち着きのない様子でぽつりと話始めた。
里「涼依がさ、文化祭の時さくらちゃんに告白したんだ」
「...!」
里「ははっ驚くのも無理ないよな」
フラれたのは涼依さんのはずなのに、息苦しそうに里苑さんは笑う。
里「涼依にとってはさくらちゃんが初恋だから、すげー特別だったわけよ」
「...はい」
里「親友だからそりゃ、幸せになってもらいたいんだよ」
「...」
里「もうどんな汚い手使ってでも、涼依が知らなかったこれ以上ない幸せを感じてほしい」
そのためなら俺、なんだってやるよ。
俺に向けた鋭い眼光のまま低く言い放つ里苑さんに呼吸を止めて、端整なその顔を穴が開くほどに見つめる。