ポジティブGIRLと愉快なBOYたち
この人のいうことは、全て偽りがない本心なんじゃないかと思っているから。


たとえ本人が深く考えずに口にしてたとしても俺をおののかせるには十分だ。





“汚い手”って、一体どこまでのことをするつもりなんだろう。





いろんなことをその頭の中で表に出さずに計算していそうだから怖い。


いや、大袈裟とかじゃなくて本気で。





ふ、と里苑さんは諦めみたいにため息を吐く。


前髪をくしゃりと握って俯いた。





里「でも、涼依がそうさせてくれないから仕方ねぇよな」





バカだよ。





里苑さんはぽつりと落とした。


呆れた口調の中に、微かな怒りも混合されている。





里「あんな時までさくらちゃんを庇って」




「...それは、好きだからこそ、なんじゃないですか」




里「?」




「好きな子には、たとえ自分じゃない誰かとでも、幸せになって笑って欲しいって思うはずですよ」





恋愛なんてしたことない俺が、学校内一のモテ男に偉そうに言えたことじゃないかもしれないけど。





「涼依さんはそれを無意識のうちに感じて、そう言えるくらい、...架月のことを、好きなんだと思います」





今の里苑さんは、少し冷静さを欠落しているみたいに見えるから。





親友のためになんだってしたいと思うのは、俺も同じ。


黎が迷ってたり、苦しんでたりしたら、俺のできる範囲で助けたいと思ってる。





だからって、その人なりの幸せの形を自分勝手にねじ曲げるのは間違ってる。





「もう少し、見守ってみるのもいいんじゃないですか?」



里「...」





俺の言葉を最後に、沈黙が続いた。





「(き、まず。どうしよっかなぁ...まだ本来の目的果たしてないんだよな)」





実は昼休みを利用してここに来ている。


弁当を食べてから里苑さんを訪ねたので、あまり時間がない。(黎に捕まって尚更時間食われた)





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