無力な存在
私は、自分のクラスに向かった。
1−Aのクラスを探した。
教室のドアの前に立つと、楽しそうな話し声が聞こえた。
私は、ドアに手をかけて開けた。
ーガラッ
クラスメイトはこちらを見て、静まり返った。
私は、自分の席についた。
いつになっても、この空気には慣れない。
幼い頃から味わってきた、この感覚。
「美麗様でしょ、近寄りがたいよね」
小声の話し声が私の耳に入った。
入学式が始まるので移動した。
新入生代表の挨拶もしっかりとやった。
入学式を終えて、両親の元へ向かった。
「何してるのよ、優里たちの勉強があるのよ、早くしなさい。」
口を開けば、優里と瑠里のこと。
私のことには一切触れない。
入試の点数だって、褒めてもらってない。
当たり前。たった一言で片付けられた。
褒められないことはわかっていた。
だけど、どこかで期待をしていた。
「よく頑張ったね、おめでとう」
そう言ってくれると、淡い期待を抱いていた。
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