platonic love



サオリと駅で別れて、一人坂道をのぼりながら、色んなことを考えた。

なんで喧嘩するのか、なんで殴り合いなんてするのか。きっとみんな、同じだけ寂しくて、満たされない感情をどこにぶつければいいのかわからなくて。

もがいている。



家についてからシンに電話をかけた。もしかしたら何か知ってるかもしれないから。


「もしもし」

『瞳だけど…。まだ遊んでる?』

「あー…大丈夫だけど何?」

『今日お祭りでタクヤ先輩に会ったんだけど…』

「で?」

『うん。怪我してて、口から凄い血が出てて。神崎先輩もいつもと様子が違ったからびっくりしちゃったぁ。』

「そっか。優くん達さ、隣の中学のやつらと喧嘩してたんだよね」

「で、タクヤ君殴られて、歯が折れちゃったんだけど。まぁそれでさらに優くんブチ切れちゃって止めるの大変だったんだよ」

『そうだったんだぁ。タクヤ先輩、早く良くなるといいね』

「大丈夫っしょ」

『…あのさ、神崎先輩のメールアドレス教えてくれない?』

「聞いてみるわ。…お疲れ」

『うん、よろしくね。お疲れー』



もっと、神崎先輩に会いたい
もっと、神崎先輩のことを知りたい


今日どんな事があったのか、何を食べたのか、ほんの小さなことでもいいから、聞きたかった。

寂しさを、埋めたかった



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