platonic love
夏休みは、部活ばかりだった。
お姉の影響でバレー部に入ってたあたしは、あっつい日も長袖を着て体育館で練習をしていた。窓から入る風が唯一の救いだったけど、バトミントン部と体育館を合同で使う日の練習はきつかった。
羽が風で流れるから、窓を開けるのも禁止。暑くて暑くて毎日顔が真っ赤。
でも、サオリと部活帰りコンビニに寄るのも楽しかったし、バスケ部と練習が被った日はユヅキと一緒に帰ったりしてた。
もちろん先輩とのメールも続いていた。
『先輩に会いたい〜(;_;)』
「会いにいってあげようか?」
『え!どこにですか!?』
「学校いる?」
『毎日部活やってます!
今週は午前練習です。見に来れたら来てください!』
「わかった」
そんなやり取りをした3日後
体育館のドアに、神崎先輩がいた。
何してんだろうって部活の先輩は不思議がってた。部活なんて全く関係ないような人達が、夏休みにわざわざ体育館まで来てたんだから誰だってそう思うはず。
とくに声もかけられなかったし、あたしも部活中だったから何も話さなかった。
あたしと、先輩しか知らない。
とびきり甘い時間が、12歳の夏で一番嬉しい出来事だった。